『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』ミチオ・カク(著)/斉藤隆央(訳)

2015年に発行された話題作『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』を読了。科学的な観点から意識・心とは何か追求していく内容。

研究事例や最新の科学の結論を並べており、心についての現在とこれからを捉えていく考え方が身につく。サヴァン症候群やアスペルガー症候群など、メディアで天才的な素養を持っていると扱われる精神障害にも着目。実際のサヴァン症候群の症状の事例やサヴァン症候群と同じ状態の脳を作ろうとしている研究など興味深い。人類が人工的に天才を作る日はそう遠くない未来なのではと思わせる。

科学書というと難しい専門用語や数式が並ぶ印象を想起するが、本書においては小見出しが丁寧につけられており、専門性は高いながらも素人でも近づきやすい。

個人的に着目したい点は精神障害のトピックだ。私の理解がやや曖昧だが、後天的な精神障害は思考回路のバランスがポジティブとネガティブの偏りが激しくなることで起こるという。そのバランスをうつ病1.0の時代では心理療法を行い、うつ病2.0では化学物質による治療を試みられ、うつ病3.0では脳への電気衝撃で治療する可能性があるそうだ。投薬が主流の2.0では治癒率は運任せの部分が大きかったが、脳に直接刺激を与える治療は高い効果が見込めるとされる。その一方で、うつ病は未来を予見するためにかかるコストと表現する切り口はハッとさせられる。

本書で最も注目されるべき点は終盤にかけて取り扱われる人工知能と心の関連性だ。人間と人工知能がどのように共存していくのか、専門的かつ現実的な視点で述べられている本書はとても興味深い。人工知能が爆発的に発展しているいまだからこそ改めて目を通しておきたい一書だ。

●NHK出版・2,700円

 


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