2017年2月15日、イギリスはロンドン。ある会話が響いた。
会社の名前はPwC(プライスウォーターハウスクーパーズ)。正確な会話の内容はわからないが、女性社員が「ハイヒールではないから」という理由で出社を断られ、帰宅したんだとか。
PwCほど世界に名を馳せるコンサル企業でも、こんな差別あるんだなーと思ってましたが、瞬く間にこの話題は広がり、抗議の署名は2016年に最もシェアされたWebページの1つとなりました。
正装じゃないという理由で帰宅を命じるとか、ホントひどい話ですよね。ブラックすぎてビビりますよ。
どうも。ライターのぽいぽいこと関口です。
わかるわかる。ハイヒールって痛そうだよね。強制するなんておかしい話だよ。ということで、ぼくのハイヒールで過ごす1週間がはじまりました。
ハイヒールチャレンジを終えた3日後にこの記事を書いてるんですが、足の痛さがまだあります。足の裏がズキズキする。
ほんとつらかった、ハイヒール。
などなど。
上げていくとキリがありませんが、なぜかやたらと予定が詰まっている1週間でした。「ひとり回転寿司とか会社帰りのOLにしかわからない苦労が見えそう!早速試してみよう〜!!」とかなり意気込んでわざわざ昼ご飯を外食したんですけど、寿司を食って帰るだけというあまりにも普通な体験でびっくりしました。新しい発見はなにもありません。期待とは常に裏切られるものですね……。
あ、唯一あるとしたら、なぜか席が一番奥だったことですね。平日のランチタイムでガラガラな店内をぼくはカツカツと足音を鳴らしながら歩きました。なんとも言えないむなしさ……。
ハイヒールを履いて、最初に驚いたのが階段の登り方です。土踏まずを着地させて登ると、すごく痛いんですよね。カカトまでしっかりつけて登った方が圧倒的に楽です。
階段の乗り方に気づいてから「あ、この階段は女性にやさしいな」となんとも意味深な考えをするようになりました。幅が狭い階段は「女性に配慮してないんじゃないか」と思ってみたり。完全に奇妙な思考をする自分と出会いました。
シューズショップの店員さんに相談しながら選んでいたんですけど、つまさきが狭くてキツいのがハイヒールの特徴らしいんですね。
とくに女性用の大きいサイズを男性のぼくが履くわけなので、横幅の締め付けがキツくなるだろうと教えてもらいました。「痛いのはイヤだ!」と思い、通勤にオススメとされる横幅がゆるやかなヒールを選択。そのおかげで横幅の狭さによる痛さはまったくありませんでした。それでも、足の裏がめちゃくちゃ痛い。
それでも指の付け根あたり(画像で赤く囲った部分)はかなりキツくて、4日目くらいから歩くのがすっかり辛くなりました。写真でも左側の足に内出血っぽいあとがありますね。疲労骨折したんじゃないかっていう痛さ。
男性は女性よりも筋肉が多くて重くなりやすいとはいえ「ちょっと痛すぎじゃない??」というレベルでしたよ。
ちょうどライブハウスに行く予定なんかも入ったりして、履き替える手間とかありましたね。これがまた面倒な作業。ハイヒールが車の運転では禁止されてるし、混んだ場所で履くのはマナー違反とされていますからね。
わざわざ靴を持ち運ぶのが大変。
イギリスでは博物館など、一部の場所ではハイヒールが禁止されていることもあるそうです。履いたり脱いだりを強要されて、なんだか付き合いづらいですよね。
「いっけなぁーいっ!寝坊しちゃった!遅れちゃうぅぅ!」って食パンをくわえて出会い頭で運命の出会いがあれば人生楽しくてハッピーかもしれませんが、ハイヒールで走ると本当に危ないです。
急に止まったり、方向転換したりできません。人混みのなかで人をかきわけてきたおじさんがいて、結構な勢いでぶつかりそうでした。こわかった……。
階段は普段よりも急に感じます。カカトがしっかりした靴ならスイスイくだれるのに、ハイヒールでは慎重になる。
足元から目をはなすことはなかなかできませんでした。
坂道も傾斜なので同じくこわい。スピードがつくと止まらないので、ブレーキがない自転車に乗ってる気分です。
鉄板の話題かもしれないけど、排水溝の網とかちょっとした穴にカカトがハマります。足下を意識しているときは大丈夫なんですけど、考えごとしてると簡単に引っかかるので危ない。急に足が「サッ」と引っかかって、こけそうになります。1日に2回くらいヒヤッとしました。
この写真を撮るとき、軽く引っかかろうとしたら、すごい勢いでつまづいてしまい危なかった……。
今回の記事は「国際女性デー(3月8日)」を記念して公開しました。冒頭に出てきたイギリス議会は今年の3月に企業が定める制服についての是非を議論するらしいですが、話してるだけじゃなくて試してみたらいいのになって思います。ぼくら一般人でもできるんだし、社会的立場がある人にこそやってみてほしいですよね。大人になると周りの目が気になってできないことっていっぱいあるのかもしれないけど。
「人は思ったより他人を見てない」と言いますが、特別なことをしている場合はまったく別だと思います。めちゃくちゃ見られます。 周りに不快感を与えてはいけないので、よき市民として振る舞おうとしました。
私生活では割とひっそりと生きていたいのですが、今回のチャレンジのおかげでよい意味で周りの視線を気にすることができて、とてもよい経験になったなと思います。初対面でも応援してくれた人たちがたくさんいて、今回の企画にも賛同してくれました。本当に感謝しています。ありがとうございます。
今回のハイヒールに終わらず、気づかないうちにぼくたちが心のなかにもっている「わかったつもり」や「小さな差別」を減らしていけるようなことを記事にしていきたいと思います。仕事の都合などもあって、誰もがハイヒール履いたりできるわけじゃありません。だから、ぼくがぼくにできることとして、これからも社会にメッセージを発信していきますので、どうぞよろしくお願いします。
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